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退職代行の利用が増えている理由 なぜ今増加しているのか

なぜ今「自分で辞められない人」が増えているのか

「退職代行の利用が増えている」という話を耳にする機会が増えました。
一方で、「一部の若者だけの話では?」「実際はそこまで多くないのでは?」と感じる人も少なくありません。

しかし、各種調査データを整理すると、利用者本人ベースでも、企業側の“遭遇率”ベースでも、確実に増加傾向にあることがわかります。
本記事では、最新の調査結果をもとに、退職代行が増えている“中身”と、その背景を整理します。


1. 利用実績と主な理由

利用“経験”と企業側の遭遇率がともに上昇

マイナビの調査(直近1年間に転職した人を対象)では、退職代行を利用して転職した人は16.6%にのぼっています。
転職者ベースで見ると、すでに6人に1人
が「退職代行を使った経験がある」計算です。

一方、企業側を対象とした調査でも、
2024年上半期に「退職代行を利用して退職した人がいた」企業は23.2%と、約4社に1社が経験しています。

年度別に見ても、

  • 2021年:16.3%
  • 2022年:19.5%
  • 2023年:19.9%

と上昇傾向が続いており、「たまに聞く特殊事例」ではなく、企業実務として無視できないレベルに達していることがわかります。

また、利用理由では
「引き留められた(引き留められそう)」が4割強と上位に入り、
退職代行が“辞めたい意思”そのものより、“言い出しにくさ”を解消する手段として使われている実態が浮かび上がります。


2. 認知は高いが、利用はまだ少数派

20代の認知度は80%以上

エン・ジャパン(エン転職ユーザー調査)では、
退職代行の認知度は72%、20代に限ると83%と非常に高い水準です。

出典:7700人に聞いた「退職代行」実態調査ー『エン転職』ユーザーアンケートー

一方で、当時点での「実際に利用したことがある人」は

  • 全体:2%
  • 20代:5%

にとどまっていました。

出典:7700人に聞いた「退職代行」実態調査ー『エン転職』ユーザーアンケートー

このデータが示しているのは、
「認知が十分に広がった状態で、特定の条件下では使われやすくなった」という構図です。

つまり近年の増加は、

  • 突然流行した
  • 安易に使われるようになった

というよりも、
「使うという選択肢が頭にある状態で、限界状況に置かれたときに選ばれるようになった」
と解釈するほうが実態に近いと言えます。


3. 利用者像の近年トレンド

20代中心+在籍期間が短い層に集中

退職代行EXITの利用者調査(ITmediaによる紹介)では、
年齢構成は以下のとおりです。

  • 20〜24歳:36.5%
  • 25〜29歳:35.7%

利用者の7割以上が20代であり、
その比率も
2021年 → 67.1%
2022年 → 69.5%
2023年 → 72.2%
と年々上昇しています。

さらに注目すべきは在籍期間です。
「3カ月未満」が38.1%で最多となっており、

  • 入社して間もない
  • 職場にまだ人間関係ができていない
  • 相談先が少ない

という状況で、「退職を自分から切り出す」ハードルが一気に高まっていることがうかがえます。


4. 新卒・若手で目立つ「時期」の偏り

4〜6月、特に5月に集中

退職代行モームリのデータ(HRzine掲載)では、
新卒社員の退職代行利用は4〜6月に集中しています。

  • 5月:最多
  • 4月・6月:次点

理由にも時期による違いが見られます。

  • 4〜6月:
    「入社前の契約内容・労働条件と、実際の勤務実態の乖離」
  • 7月以降:
    「いじめ・パワハラなど人間関係」

入社直後は「話し合って改善する」よりも、
「早めに損切りする」判断が選ばれやすく、その伝達手段として退職代行が使われる構図です。

また、GW明けに増えやすい背景として、

  • 五月病(適応不全・抑うつ)
  • 休暇中の同世代比較による不安増幅
  • コロナ禍以降、年上世代と雑談・相談する機会が減ったこと

なども指摘されています。

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5. 要因を分解すると見えてくる本質

退職代行を使う心理的背景

各種調査結果を総合すると、近年の退職代行利用は次の5つに整理できます。

1. 引き留めの回避

利用理由の上位には
「引き留められた(引き留められそう)」が入っています。

辞める意思そのものよりも、
揉める・長引く・感情的になるリスクを避けたいという判断が、利用を後押ししています。


2. 職場の心理的安全性・ハラスメント

パーソル総合研究所の調査では、
退職代行利用者は

  • 「上司への恐怖心」
  • 「すぐにでも退職したかった」

といった回答が多く、ハラスメント経験者も多い傾向が出ています。

出典:パーソル総合研究所「離職の変化と退職代行に関する定量調査」

同時に、
「職場の人間関係が希薄化し、上司1人にコミュニケーションが依存している」
という構造的問題も指摘されています。


3. 入社後ミスマッチの早期顕在化

新卒の4〜6月に多い
「契約内容・労働条件と実態の乖離」は、
採用・配属段階のミスマッチが早期に露呈していることを意味します。

この段階では、
改善交渉よりも早期離脱+代行利用が合理的に選ばれやすくなります。


4. 労働市場の流動化

厚生労働省の雇用動向調査(令和5年)では、
入職率16.4%、離職率15.4%と、労働移動の大きさが示されています。

「辞めても次がある」という前提は、
辞める決断のハードルを下げ、その分“辞め方”の悩みを前面化させています。


5. 職場での孤立

同じくパーソル総合研究所の分析では、
退職代行利用者は、職場内外での相談相手が少ない傾向が見られます。

職場に頼りになる人がいないことも外部の退職代行サービスを利用する後押しになっていると言えそうです。

出典:パーソル総合研究所「離職の変化と退職代行に関する定量調査」

6. 退職代行サービスの手軽さ

退職代行がここまで広がった背景には、サービスそのものの使いやすさが大きく進化したこともあります。
現在の退職代行は、「追い詰められた人が最後に頼るもの」から、
「身近な選択肢の一つ」へと変わってきています。

6-1. 連絡はLINE中心、顔出し・通話なしで完結

多くの退職代行サービスは、

  • 申し込み
  • 状況ヒアリング
  • 退職完了までのやり取り

LINEだけで完結します。

上司と話す必要はもちろん、
電話・対面・会社訪問も不要です。

「声を聞くだけで動悸がする」
「言い返されるのが怖い」
という状態の人でも、心理的負担を最小限にして退職できる点は、利用が広がった大きな理由です。


6-2. 即日対応・スピード感がある

多くのサービスでは、
申し込み当日〜翌営業日に会社へ連絡が入ります。

  • 明日出社しなければならない
  • もう限界で、これ以上引き延ばせない

という状況でも、「今すぐ開放される方法がある」という安心感があります。

退職したいと思ってから実際に退職できるまでのスピードの早さが手軽に利用できる背景にもなっています。


6-3. 料金が明確で、追加請求が少ない

現在の退職代行は、

  • 一律料金
  • 追加費用なし
  • 成功報酬なし

という形が主流です。

「どこまでやってくれるかわからない」
「後から高額請求されるのでは?」
という不安が少なく、金額面の見通しが立てやすいことも利用を後押ししています。


6-4. 実績・口コミが可視化され、不安が減った

数年前までは、
「本当に辞められるの?」
「怪しくない?」
という不安が大きいサービスでした。

しかし今は、

  • 利用者数
  • 具体的な退職事例
  • SNSや口コミでの体験談

が大量に公開されており、
使った後のイメージがしやすくなっています。

「自分と似た状況の人が、実際に辞められている」
という事実が、最後の一押しになっているケースも少なくありません。


6-5. 「退職=悪」ではないという空気の変化

終身雇用が当たり前だった時代と違い、
今は「合わない職場から離れる」こと自体が、珍しい行動ではなくなりました。

  • 転職が当たり前
  • 短期離職も珍しくない
  • 心身を守ることが優先される

こうした価値観の変化から、
退職代行は一気に現実的な選択肢になったと言えます。


7. まとめ

退職代行の利用が増えている背景

各種調査データから、近年の退職代行利用には次の傾向が確認できます。

  • 退職代行を利用した人、利用者がいた企業の割合はいずれも増加傾向
  • 利用者は20代が中心で、入社・転職から間もない短期在籍者が多い
  • 新卒・若手では4月から6月、特に5月に利用が集中しやすい
  • 利用理由の上位は、引き留めへの不安、上司に言い出しにくい状況、人間関係やハラスメントへの懸念
  • 退職の意思よりも、退職を伝える際の心理的・対人的負担が利用と結びついている
  • 労働市場の流動化により、退職そのもののハードルは下がっている
  • LINE中心の非対面対応や料金の明確化などにより、サービス利用の手続き的ハードルも下がっている

社会的な職場環境への期待と売り手市場という状況、サービス進化の加速がより進むことで現在は20代の利用が中心となっていますが、今後は30代以上にも利用者が増えてくることも予想されます。

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