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「このまま今の会社にいて、10年後の自分は大丈夫だろうか」「辞めたいけれど、30代で転職して失敗したら取り返しがつかない気がする」——30代の退職相談では、今の不満と同じくらい、将来への焦りが語られます。
人材業界で働く現役のプロ(退職・転職相談500名超)の筆者が、厚生労働省の最新統計をもとに、30代が仕事を辞めた理由、30代で転職した人の収入の変化、後悔しないために辞める前に決めておくことを整理しました。
結論|転職先が決まった30代は「収入が増えた人」が多い。カギは辞める理由をはっきりさせること
データで見る30代の転職(2025年に転職して入社した人の集計)
・30〜34歳で転職した人のうち、前の職場より賃金が増えた人は48.6%、減った人は29.0%
・35〜39歳では増えた人43.5%、減った人23.9%
・どちらも、増えた人と減った人の差は19.6ポイントで、全年代の平均(9.8ポイント)の約2倍
・一方で、30〜34歳の約5人に1人(19.0%)は1割以上の減収
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2025年1年間に転職した人が対象)
この数字は、転職先が決まって入社した人だけを集計したものです。そのうえで、30代は統計の上では転職で収入を伸ばしやすい年代と言えます。それでも、5人に1人は1割以上収入が下がっています。差がつくのは「何から逃げたいか」ではなく「次に何を得たいか」を決めてから動いたかどうかです。この記事では、その判断に必要な材料を順番に見ていきます。
30代で今の仕事を辞めていい?判断の目安
| 今すぐ離れることを優先したいケース | 一度とどまって考えたいケース |
|---|---|
| 眠れない・食欲がない・朝に体が動かない状態が続いている | 不満はあるが、心身の不調は出ていない |
| ハラスメントや違法な長時間労働が続いている | 異動や担当替えで解決できる可能性がある |
| 残業代の未払いなど、会社が法律を守っていない | 次に何をしたいかが、まだ言葉にできていない |
| 相談しても改善の見込みがまったくない | ボーナスや昇給の時期が近く、待つ価値がある |
左に当てはまるなら、転職先が決まる前でも、まずは心と体を守ることを優先してください(心が限界のときに出るサイン)。右に当てはまるなら、この記事の後半の準備を進めながら、在職中に次を探すのがおすすめです。
30代が実際に前の職場を辞めた理由|データで見る本音
2025年に転職した30代が、前の職場を辞めた理由の上位です(「その他の個人的理由」「その他の理由」「定年・契約期間の満了」を除いた項目)。
| 年齢・性別 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 30〜34歳 男性 | 給料等収入が少なかった(13.4%) | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(13.0%) | 会社の将来が不安だった(10.0%) |
| 30〜34歳 女性 | 給料等収入が少なかった(12.2%) | 職場の人間関係が好ましくなかった(10.6%) | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(10.1%) |
| 35〜39歳 男性 | 会社の将来が不安だった(12.7%) | 給料等収入が少なかった(11.2%) | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(11.1%) |
| 35〜39歳 女性 | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(13.7%) | 給料等収入が少なかった(8.5%) | 職場の人間関係が好ましくなかった(8.3%) |
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2025年1年間に転職した人が対象)
30代前半は「収入」と「労働条件」、30代後半の男性は「会社の将来」が上位に上がってきます。結婚や出産、住宅の購入など、自分だけでなく家族の生活まで考える時期だからこそ、今の会社で先が見えるかが気になるのは自然なことです。30〜34歳の女性では、出産・育児を理由に辞めた人も6.2%いました。
40代のデータは仕事を辞めたい40代へ、全年代の傾向は仕事を辞めたいのは甘え?で紹介しています。
30代で転職すると収入はどうなる?20代・40代と比べる
| 転職したときの年齢 | 賃金が増えた | 変わらない | 減った | うち1割以上減った |
|---|---|---|---|---|
| 25〜29歳 | 49.8% | 25.0% | 23.9% | 16.5% |
| 30〜34歳 | 48.6% | 20.8% | 29.0% | 19.0% |
| 35〜39歳 | 43.5% | 28.1% | 23.9% | 16.1% |
| 40〜44歳 | 44.9% | 24.6% | 27.4% | 17.6% |
| 45〜49歳 | 41.1% | 28.0% | 30.1% | 16.1% |
| 全年代 | 40.8% | 25.5% | 31.0% | 21.9% |
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2025年1年間に転職した人が対象)
30代は、20代後半とほぼ同じくらい「賃金が増えた人」が多い年代です。30〜34歳は「変わらない」が少ないぶん、増えた人も減った人も多く、結果が大きく分かれやすいのが特徴です。職種ごとの求人の多さは職種別の有効求人倍率で確認できます。
30代前半と後半で、辞め方の考え方は違う
30〜34歳|収入や働き方を変えたいなら、選択肢が広いうちに
30代前半で辞めた理由の上位は「給料」と「労働条件」です。転職後の収入は「変わらない」が20.8%と少なく、上がる人も下がる人も多い、結果が分かれやすい年代でもあります。職種や業界を変えたいなら、一般に年齢が若いほうが未経験の求人に応募しやすいため、「何を変えたいか」を早めに決めて動くことが大切です。
35〜39歳|専門性を深めるか、管理職を目指すかを決める
30代後半の男性では「会社の将来が不安だった」が1位になります。この年代の転職では、これまでの経験をどう生かすかが問われやすくなります。専門性を深めて同じ職種で条件を上げるのか、マネジメントの経験を武器に管理職を目指すのか、キャリアの方向を決めてから求人を選ぶと、収入を下げずに移りやすくなります。40代に近づいてからの転職については仕事を辞めたい40代へも参考にしてください。
30代が辞める前に決めておく4つのこと
1. 辞めたい理由を「不満」と「次に得たいもの」に分ける
「給料が低い」「残業が多い」という不満は、裏返せば「年収を上げたい」「定時で帰れる働き方をしたい」という希望です。不満を希望に言い換えておくと、転職先選びの軸がぶれません。逃げるように辞めると、同じ不満を次の職場でも抱えやすくなります。
2. 今の会社で解決できないかを一度だけ確かめる
異動や担当替え、働き方の相談で解決するなら、それも立派な選択です。上司や人事に一度相談してみて、変わらなければ外に目を向けると、迷いなく次に進めます。
3. お金とライフイベントの予定を書き出す
結婚、出産、住宅の購入など、30代は大きな出費や手続きが重なりやすい時期です。転職直後は住宅ローンの審査で勤続年数を見られることもあるため、予定がある人は時期を考えておきましょう。辞めたあとに必要なお金の考え方は仕事を辞めたいけどお金がない人向けの記事で解説しています。
4. 次の職場を決めてから、退職を伝える
収入の空白をつくらないためにも、在職中に内定を取ってから退職を伝えるのが基本です。退職の伝え方は退職の切り出し方、伝える時期の目安は退職は何ヶ月前に伝える?で確認できます。
今すぐ辞めることを優先したほうがいいケース
眠れない、食欲がない、朝に体が動かないといった状態が続いている、ハラスメントを受けている——こうした場合は、転職活動より先に、心と体を守ることを優先してください。判断の目安は心が限界のときに出るサインに、今朝どうするか迷ったときの考え方は仕事に行きたくない朝はどうする?にまとめています。
30代の転職の進め方|在職中に動く5ステップ
経験の棚卸し
担当した業務、成果、身につけたスキルを数字とあわせて書き出します。
転職の軸を決める
「年収」「働き方」「仕事内容」「将来性」のうち、何を最優先にするかを決めます。
転職エージェントに登録して相談
複数のサービスに登録し、担当者の提案を比べると、自分の市場価値が見えやすくなります。
応募と面接
在職中なので、有給休暇や業務後の時間を使って面接を調整します。
内定後に退職を伝える
年収や勤務条件を書面で確認してから、退職を伝え、引き継ぎを進めます。
よくある質問(FAQ)
Q1. 30代で未経験の職種に転職できますか?
できます。ただし20代に比べると、まったくの未経験より「これまでの経験の一部を生かせる職種」のほうが選択肢は広がりやすくなります。人手不足の職種では未経験の求人も多いため、職種ごとの求人倍率もあわせて確認してください。
Q2. 30代で転職を何回かしていると不利ですか?
回数そのものより、それぞれの転職の理由と、そこで何を得たかを説明できるかが見られます。次の転職の軸を一貫した言葉で語れるように準備しておきましょう。
Q3. 仕事を辞めてから転職活動をしてもいいですか?
心身の不調などの事情がない限り、在職中に次を決めるのがおすすめです。自己都合退職の失業保険は、2025年4月から給付制限が原則1ヶ月に短縮されました(5年以内に3回以上自己都合で退職した場合などは3ヶ月)が、振り込みまでは退職から2ヶ月程度かかることが多く、収入の空白が生まれやすいためです。
Q4. 結婚や出産の予定がある場合、転職は避けたほうがいいですか?
一概には言えません。育児休業は、労使協定がある会社では入社1年未満の人を対象外にできるため、転職先の制度や条件を事前に確認してから時期を決めると安心です。
Q5. 30代で年収を上げるには、何を重視して転職先を選べばいいですか?
今の経験が評価されやすい業界や職種を選ぶことが近道です。求人票の年収だけでなく、評価制度や昇給の実績も確認すると、入社後の伸び方まで判断できます。
まとめ|30代の「辞めたい」は、次に得たいものを決めれば武器になる
- 30〜34歳で転職した人は、賃金が増えた人(48.6%)が減った人(29.0%)を上回る
- 35〜39歳も増えた人(43.5%)が多く、増減の差は全年代平均の約2倍
- ただし30〜34歳の約5人に1人は1割以上の減収で、結果が分かれやすい
- 30代前半は収入と労働条件、後半の男性は会社の将来が辞めた理由の上位。前半は「何を変えたいか」、後半は「キャリアの方向」を決めてから動く
- 不満を「次に得たいもの」に言い換え、在職中に次を決めてから退職を伝える
30代で仕事を辞めたいと思うのは、これからのキャリアを真剣に考えている証拠です。まずは自分の経験でどんな選択肢があるかを知るところから始めてください。
辞めるかどうかは、選択肢を知ってから決めても遅くない
在職中に転職エージェントに登録すれば、自分の経験でどんな求人があり、年収がどう変わりそうかを確かめてから判断できます。登録や相談は無料で、すぐに辞める必要もありません。
※統計は厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」にもとづきます(2026年10月時点で公表されている最新の年間調査)。

