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「このまま定年まで、ここで働き続けるのか」「でも40代で辞めて、次が見つからなかったらどうしよう」——40代の退職相談では、辞めたい気持ちと同じくらい、家族や住宅ローン、年齢への不安が語られます。
人材業界で働く現役のプロ(退職・転職相談500名超)の筆者が、厚生労働省の最新統計をもとに、40代が仕事を辞めたくなる理由、40代で転職した人の収入の変化、辞める前に決めておくべきことを整理しました。
結論|40代の転職は「収入が増えた人」が多い。ただし40代後半で差が縮まり、50代で逆転する
データで見る40代の転職(2025年)
・40〜44歳で転職した人のうち、前の職場より賃金が増えた人は44.9%、減った人は27.4%
・45〜49歳でも増えた人41.1%、減った人30.1%と増えた人が多いが、差は前半の17.5ポイントから11.0ポイントに縮まる
・50〜54歳になると、減った人(42.0%)が増えた人(29.4%)を上回る
・1割以上収入が減った人は、40〜44歳で17.6%、45〜49歳で16.1%(どちらも約6人に1人)
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2025年1年間に転職した人が対象)
40代で辞めることは、統計で見れば無謀ではありません。ただし、年齢が上がるほど「増えた人」と「減った人」の差は縮まり、40代でも約6人に1人は1割以上収入が下がっています。分かれ目になるのは、辞めてから探すのではなく、在職中に次を決めてから辞めるかどうか。この記事では、その判断に必要な材料を順番に見ていきます。
40代が実際に前の職場を辞めた理由|データで見る本音
2025年に転職した40代が、前の職場を辞めた理由の上位です(「その他の個人的理由」「その他の理由」「定年・契約期間の満了」を除いた項目)。
| 年齢・性別 | 1位 | 2位 | 3位 |
|---|---|---|---|
| 40〜44歳 男性 | 能力・個性・資格を生かせなかった(11.0%) | 会社の将来が不安だった(10.7%) | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(9.6%) |
| 40〜44歳 女性 | 職場の人間関係が好ましくなかった(15.4%) | 給料等収入が少なかった(11.4%) | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(8.8%) |
| 45〜49歳 男性 | 職場の人間関係が好ましくなかった(13.3%) | 給料等収入が少なかった(11.5%) | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(7.5%) |
| 45〜49歳 女性 | 労働時間、休日等の労働条件が悪かった(13.1%) | 職場の人間関係が好ましくなかった(11.2%) | 給料等収入が少なかった(10.1%) |
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2025年1年間に転職した人が対象)
40代前半の男性では「力を生かせない」「会社の将来が不安」が上位に入り、女性や40代後半では人間関係・収入・労働条件が並びます。40代は管理職として上と下の板挟みになりやすく、子育てや親の介護と仕事の両立が重なる時期でもあります。辞めたいと感じるのは、あなたの我慢が足りないからではありません。同じ理由で動いている人は、数字の上でも少なくありません。
20〜30代も含めた全体のデータは仕事を辞めたいのは甘え?データで分かる本当の理由で紹介しています。
40代で転職すると収入はどうなる?年代別に比べる
| 転職したときの年齢 | 賃金が増えた | 変わらない | 減った | うち1割以上減った |
|---|---|---|---|---|
| 30〜34歳 | 48.6% | 20.8% | 29.0% | 19.0% |
| 35〜39歳 | 43.5% | 28.1% | 23.9% | 16.1% |
| 40〜44歳 | 44.9% | 24.6% | 27.4% | 17.6% |
| 45〜49歳 | 41.1% | 28.0% | 30.1% | 16.1% |
| 50〜54歳 | 29.4% | 26.7% | 42.0% | 28.3% |
| 55〜59歳 | 25.5% | 33.0% | 38.9% | 30.6% |
| 全年代 | 40.8% | 25.5% | 31.0% | 21.9% |
出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2025年1年間に転職した人が対象)
40代前半は「賃金が増えた人」の割合が30代後半とほぼ同じ水準です。40代後半になると増えた人と減った人の差が縮まり、50代前半では減った人のほうが多くなります。「動くなら40代のうち、できれば早めに」と言われる理由は、この数字にも表れています。
ただし、これは転職した人全体の平均です。業界や職種、管理職経験の有無によって結果は大きく変わります。職種ごとの求人の多さは職種別の有効求人倍率で確認できます。
40代が辞める前に決めておく5つのこと
1. 辞めたい理由は「今の会社で解決できないか」
人間関係が理由なら、異動や部署替えで解決することもあります。体調が理由なら、休職という選択肢もあります。40代は社内での実績や信頼があるぶん、社内で環境を変えられる余地が20代より大きいこともあります。「会社を変える」か「環境を変える」かを、一度切り分けてみてください。
2. 毎月の固定費と、家族のお金の予定
住宅ローン、子どもの教育費、親の介護費用など、40代は削れない支出が多くなります。転職で一時的に年収が下がっても生活が回るか、ボーナスが出る時期はいつかを書き出しておきましょう。辞めたあとに必要なお金の計算方法は仕事を辞めたいけどお金がない人向けの記事で解説しています。
3. 退職金がいくらになるか
勤続年数が長い40代は、退職金が大きな金額になることがあります。多くの会社では自己都合退職だと会社都合より支給額が少なくなる計算になっているため、就業規則や退職金規程で支給条件を確認してください。退職金規程では、「自己都合退職のときの支給率」と「勤続何年で支給額が上がるか(区切りの年数)」の2点を確認しておくと、辞める時期を決めやすくなります。相場や税金の扱いは退職金の相場と税金にまとめています。
4. 自分の経験を言葉にしておく
40代の転職では、「何ができるか」を具体的に説明できるかが問われます。担当した業務、部下の人数、改善した数字など、職務経歴として語れる経験を書き出してください。自分では当たり前だと思っていた経験が、ほかの会社では評価されることもあります。
5. 次の職場を決めてから、退職を伝える
40代は、20代に比べて転職活動が長引くこともあります。収入の空白をつくらないためにも、在職中に内定を取ってから退職を伝えるのが基本です。転職先を決めずに辞める場合のリスクは転職先を決めずに退職はあり?で詳しく解説しています。
今すぐ辞めることを優先したほうがいいケース
ここまで「次を決めてから」と書きましたが、例外があります。眠れない、食欲がない、朝に体が動かないといった状態が続いている、ハラスメントを受けている——こうした場合は、転職活動より先に、心と体を守ることを優先してください。判断の目安は心が限界のときに出るサインにまとめています。
病気やけがで働けなくなった場合は、健康保険の傷病手当金を受け取れることがあります。条件は傷病手当金は退職後ももらえる?で確認してください。
40代の転職の進め方|在職中に動く5ステップ
経験の棚卸し
担当業務、マネジメント経験、成果を数字で書き出します。
転職エージェントに登録して相談
40代向けの求人には、一般に公開されていないものもあります。複数のサービスに登録し、担当者の提案を比べるのが効率的です。
応募と面接
在職中なので、面接は有給休暇や業務後の時間を使って調整します。オンライン面接に対応する企業もあります。
内定・条件の確認
年収だけでなく、役職、勤務地、残業、退職金制度まで書面で確認します。
退職の申し出と引き継ぎ
40代は担当業務が多く、引き継ぎに時間がかかりがちです。就業規則の申し出期限を確認し、余裕をもって伝えます。
退職の伝え方は退職の切り出し方、引き止められたときの断り方は退職の引き止めの断り方、引き継ぎの進め方は退職時の引き継ぎで解説しています。
40代の転職は「情報の量」で差がつく
40代向けの求人には、一般に公開されずに転職エージェント経由で紹介されるものもあります。在職中でも無料で相談できるので、まずは自分の経験でどんな求人があるかを確かめるところから始めてください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 40代で未経験の職種に転職するのは無理ですか?
無理ではありませんが、20代に比べて選択肢は絞られやすくなります。人手不足の職種では未経験の求人も多く、これまでの経験の一部を生かせる職種を選ぶと可能性は広がります。職種ごとの求人の多さは、厚生労働省が毎月公表する有効求人倍率で確認できます。
Q2. 40代で、仕事を辞めてから転職活動をしてもいいですか?
おすすめしません。40代は転職活動が長引くこともあり、収入がない期間が延びると焦って条件の合わない会社を選びがちです。自己都合退職の失業保険は、2025年4月から給付制限が原則1ヶ月に短縮されましたが、実際の振り込みは退職から2ヶ月程度かかることが多くなります。心身の不調など今すぐ辞めるべき事情がない限り、在職中に次を決めてから退職するのが基本です。
Q3. 自己都合で辞めると退職金は減りますか?
多くの会社では、自己都合退職の場合に会社都合より支給額が少なくなる計算方法をとっています。ただし支給の有無や計算方法は会社ごとに違うため、就業規則や退職金規程を確認してください。
Q4. 転職すると住宅ローンの審査に影響しますか?
金融機関によっては、勤続年数が短いと審査で不利になることがあります。住宅の購入や借り換えを考えているなら、退職を伝える前に金融機関へ相談し、在職中に手続きを進めるべきかを確認しておくと安心です。
Q5. 家族に反対されたらどうすればいいですか?
気持ちだけでなく、数字で説明するのが効果的です。転職先の年収と条件、毎月の家計、退職金や貯金でどれくらいの期間をしのげるかを示すと、話し合いが具体的になります。
まとめ|40代の「辞めたい」は、準備すれば次につながる
- 40〜44歳で転職した人は、賃金が増えた人(44.9%)が減った人(27.4%)を上回る
- 45〜49歳で差が縮まり、50〜54歳では減った人(42.0%)のほうが多くなる
- 40代前半の男性は「力を生かせない」「会社の将来が不安」、女性や40代後半は人間関係・収入・労働条件が辞めた理由の上位
- 辞める前に、社内で解決できないか、家計、退職金、経験の棚卸しを確認する
- 心身の不調がない限り、在職中に次を決めてから退職を伝える
40代の「辞めたい」は、逃げではなく、これからの20年をどう働くかを考え直すきっかけです。まずは自分の経験でどんな選択肢があるかを知るところから始めてください。
辞めるかどうかは、選択肢を知ってから決めても遅くない
在職中に転職エージェントに登録すれば、自分の経験でどんな求人があり、年収がどう変わりそうかを確かめてから判断できます。登録や相談は無料で、すぐに辞める必要もありません。
心も体も限界で、会社とやり取りする気力がない方へ
退職の手続きだけを外部に任せる方法もあります。→ 退職代行の比較
※統計は厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」にもとづきます(2026年10月時点で公表されている最新の年間調査)。


