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「もう会社に行ける状態じゃない。退職を電話で伝えてもいいのだろうか」。体調を崩している、職場の人間関係が限界、出社そのものが怖い——そんな状況で、対面で退職を切り出すのはあまりに負担が大きいですよね。
結論からお伝えします。退職を電話で伝えることは、法律上まったく問題ありません。退職の意思表示の方法に法律上の決まりはなく、電話でも有効です。マナーとしては対面が望ましいとされますが、出社が難しい事情があるなら、電話は十分に誠実な手段です。
この記事では、人材業界で働く現役のプロ(退職・転職相談500名超)が、電話で退職を伝えていいケース、かける前の準備、そのまま使えるトーク例、電話の後にやるべきこと(退職届の郵送)まで解説します。法制度の説明は2026年8月時点の情報にもとづきます。
※電話をかける気力も残っていない、という方は、記事後半の「電話すら難しいときは」の章から読んでください。無理をする必要はありません。
退職を電話で伝えるのはあり?|法律とマナーを分けて考える
まず、多くの方が混同しがちな2つを分けます。
| 観点 | 電話での退職連絡 |
|---|---|
| 法律 | 問題なし。退職の意思表示は方法を問わず有効で、口頭(電話含む)でも成立します。期間の定めのない雇用なら、意思表示の到達から2週間で契約終了(民法627条1項) |
| マナー | 原則は対面が望ましいとされる。ただし体調不良・遠方・ハラスメントなど事情があれば、電話でも失礼にはあたらない |
つまり「電話で辞めるのは非常識では」という不安は、マナーの話にすぎません。出社がどうしても難しいなら、欠勤や有給の連絡を入れたうえで、退職の意思は電話で伝えて構いません。連絡しないまま欠勤を続ける(いわゆるバックレ)と違い、電話は「意思をきちんと伝える」正当な方法です。
電話で伝えて問題ないケース
- 体調不良・メンタル不調で出社が難しい(すでに欠勤・休職中を含む)
- ハラスメントを受けていて、対面で切り出すのが怖い
- 遠方勤務・単身赴任などで直属の上司と物理的に会えない
- 対面で伝えようとしたが、取り合ってもらえなかった
一方、通常どおり出社できていて特別な事情がない場合は、まず対面(またはオンライン面談)で伝えるほうが円満に進みやすいのは事実です。その場合の切り出し方は退職の切り出し方の記事を参考にしてください。
電話をかける前の準備4つ
- ①伝える内容を3点に絞る——「退職の意思」「希望退職日」「今後の手続きの相談」。理由は聞かれたら簡潔に答える程度で十分です
- ②退職日を決めておく——民法上は申し入れから2週間で退職できます。就業規則の予告期間(1ヶ月前など)に合わせられるなら円満ですが、心身が限界なら2週間を基準に考えて構いません
- ③かける相手——原則は直属の上司へ。休職中で人事とやり取りしている場合は、人事の担当者で構いません(すでに窓口になっているため、むしろ自然です)
- ④メモを手元に置く——言うことを書き出しておくと、引き止められても流されません。通話の日時と相手は記録しておきましょう
何時にかけるのがいい?|避けたいのは「一番忙しい時間」
時間帯の目安は、始業15〜30分前(上司が出社していれば)、昼休み明け、終業後30分以内のいずれかです。始業直後や締め切り前は電話に出てもらいにくく、出ても落ち着いて話せません。相手の業務が谷になる時間を狙うのがコツですが、体調がつらいなら「自分が話せるタイミング」を最優先にして大丈夫です。
そのまま使える電話のトーク例
基本形(体調不良の場合)。一息に言おうとせず、相手の相槌を待ちながら区切って話して大丈夫です:
お疲れさまです、〇〇です。今、少しお時間よろしいでしょうか。
体調が思わしくなく、電話で失礼します。一身上の都合で、〇月〇日をもって退職させていただきたく、ご連絡しました。
退職届は郵送でお送りします。必要な手続きを教えていただけますでしょうか。
引き止められたときの返し(よくある2パターン):
「一度会って直接話そう」
→「申し訳ありません。体調の都合で出社が難しいため、電話と書面で進めさせてください。」「後任が決まるまで待ってほしい」
→「お気持ちは分かりますが、退職の意思は変わりません。〇月〇日までは引き継ぎ資料の作成など、できる形で協力します。」
上司が不在・留守電だった場合の吹き込み例:
〇〇です。お伝えしたいことがあり、お電話しました。改めて〇時ごろにかけ直しますので、お手すきの際に出ていただけると幸いです。
※退職の意思そのものは留守電ではなく、本人と直接話して伝えるのが確実です。つながらない場合は時間を変えてかけ直し、それでも難しければ人事部へ。
ポイントは2つ。「退職を考えている」ではなく「退職します」と言い切ること(相談の形にすると引き止めの余地が生まれます)。そして長話にしないこと。用件は2〜3分で伝わります。その他の引き止めパターンへの返し方は引き止めの断り方の記事に詳しくまとめています。
電話の後にやること|退職届の郵送で「記録」を残す
電話は記録が残らないのが弱点です。「聞いていない」と言われるリスクを消すため、電話で伝えた後、必ず退職届を郵送して書面の記録を残してください。
- 退職届を作成——書き方と文例は退職届の書き方の記事へ。宛先は就業規則の届け先(なければ人事部)
- 追跡できる方法で送る——特定記録や書留など、送った事実が残る方法で。会社が受け取りを拒否しそうな場合は、内容証明郵便+配達証明が確実です(受け取ってもらえない場合の対処記事)
- 貸与品・保険証は退職日以降に郵送返却——出社して返す義務はありません。送付状に品目を書いて、追跡できる方法で送ります
- 離職票などの書類は郵送を依頼——電話または退職届に「離職票・源泉徴収票は自宅へ郵送をお願いします」と添えておくとスムーズです(退職後の手続きリスト)
電話で伝えるときの注意点3つ
- ①無断欠勤のまま電話しないこと——欠勤が続いている場合も、退職の意思を伝えた時点で「連絡のない欠勤」ではなくなります。逆に、電話すらしないまま消えるバックレは、懲戒解雇や貸与品トラブルのリスクを自分で作ることになります
- ②留守電・伝言で終わらせないこと——本人に直接伝わったことが大切です。上司が出なければ時間を変えてかけ直し、どうしてもつながらなければ人事部へ。並行して書面(退職届の郵送)で補強します
- ③「退職の話は会社に来てしろ」と言われても、伝えるためだけの出社を強制されることはないこと——「体調の都合で出社は難しいため、電話と書面で進めさせてください」で足ります。退職の効力は出社の有無と関係ありません。ただし退職日までは在籍中なので、休む日は有給申請または欠勤の連絡をセットにしてください
電話すら難しいときは退職代行という手段もある
「上司の声を聞くだけで動悸がする」「電話をかける気力が残っていない」。相談の現場では、そこまで追い詰められている方も少なくありません。その状態で無理に電話をする必要はありません。
退職代行を使えば、退職の意思表示そのものを代わりに会社へ伝えてもらえます。あなたが会社と直接話すことは一切なく、退職日や有給消化の調整まで進められます(交渉が必要な場合は労働組合・弁護士運営を選ぶのが安全です)。
よくある質問
Q1. 電話ではなくメールやLINEだけで退職を伝えてもいいですか?
意思表示としてはメールでも有効で、記録が残る点はむしろ電話より優れています。ただし、確実に本人に届いたか分かりにくい(見ていないと主張される)のが弱点です。実務的には「電話で伝える+退職届を郵送」または「メールで伝える+退職届を郵送」のように、必ず書面とセットにするのがおすすめです。
Q2. 電話で退職を伝えたら、そのまま出社しなくてもいいですか?
退職日までは在籍中なので、原則は出勤日です。ただし、有給休暇が残っていれば退職日までの取得を申請できます。体調不良の場合は欠勤の連絡を入れてください(病気休暇の制度があるかは会社によって異なるため、就業規則か人事への確認が確実です)。電話で「退職日までは有給を取得したい」と伝え、退職届にも書き添えてください。有給の権利は退職時の有給消化の記事で確認できます。
Q3. 派遣社員・契約社員も電話で伝えていいですか?
伝える方法は同じく自由ですが、伝える相手が違います。派遣社員は派遣先ではなく派遣元(雇用主である派遣会社)の担当者へ連絡してください。また、契約期間の定めがある場合は期間途中の退職に「やむを得ない事由」が必要になる点が正社員と異なります(民法628条)。まずは派遣元・雇用主に事情を相談するのが先決です。
Q4. 新入社員です。入社してすぐ電話で退職を伝えるのはさすがに非常識ですか?
在籍期間の長さで、電話が使えるかどうかは変わりません。入社直後でも、心身の不調や出社できない事情があるなら電話で伝えて問題ありません。新卒・入社1年未満での退職は珍しくなく、短期離職の面接での伝え方は退職理由の答え方の記事で解説しています。
Q5. 電話で伝えた退職を「認めない」と言われました。どうすればいいですか?
退職に会社の承認は不要です。認めないと言われても、意思表示が到達していれば2週間で退職は成立します(期間の定めのない雇用の場合)。証拠を残すため、内容証明郵便で退職届を送ってください。手順は退職届を受け取ってもらえない時の対処記事で文例つきで解説しています。
まとめ:電話での退職連絡は「あり」。書面とセットで確実に
- 退職を電話で伝えるのは法律上問題なし。出社できない事情があるなら失礼でもない
- 伝えるのは「退職します」「退職日」「手続きの相談」の3点。言い切りで、2〜3分で
- 電話の後は必ず退職届を郵送して記録を残す。貸与品・保険証も郵送返却でよい
- 「認めない」と言われても退職は止まらず、伝えるためだけの出社を強制されることもない。拒否されたら内容証明へ
- 電話すら難しい状態なら、退職代行で意思表示ごと任せるという手段もある
電話で伝えることに罪悪感を持つ必要はありません。大切なのは伝える手段ではなく、意思をはっきり伝えて、手続きを誠実に進めることです。
※本記事の法制度の説明は2026年8月時点の情報です。最新の条文はe-Gov法令検索で、個別の状況の相談は各都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料)で確認できます。
電話をかける気力も残っていない方へ
会社と一切話さずに退職の意思を伝え、退職日や有給消化の調整まで任せられるのが退職代行です。交渉が想定されるなら、法的に対応できる労働組合・弁護士運営のサービスを選んでください。
心身の限界サインが出ていないか気になる方は、限界サイン15選の記事もあわせてどうぞ。

