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仕事を辞めたい50代へ|定年まで我慢か転職か、損しない辞め方と確かめる順番

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「定年まであと10年、このまま我慢するべきか」「役職を外れて、居場所がなくなった気がする」「親の介護もあって、もう続けられない」——50代の退職相談では、辞めたい理由と同じくらい、お金と年齢の不安が語られます。

人材業界で働く現役のプロ(退職・転職相談500名超)の筆者が、厚生労働省の統計と公的制度をもとに、50代が辞める前に確かめておきたい「お金」と「再就職の現実」を整理しました。制度の内容は2026年10月時点の情報です。

結論|50代は「どう辞めるか」でお金が大きく変わる。辞める前の確認が何より大切

50代が辞める前に知っておきたいこと

・2025年に転職した50〜54歳は、賃金が減った人(42.0%)が増えた人(29.4%)を上回る。40代とは逆の結果

・失業保険の日数は辞め方で変わる。45〜60歳で被保険者期間20年以上なら、会社都合は最長330日、自己都合は150日

・退職金、健康保険、年金、住民税など、50代は辞めたあとのお金の動きが大きい

・親の介護が理由なら、辞める前に介護休業(通算93日まで)を使える可能性がある

50代で辞めること自体は、決して珍しくありません。ただ、勢いで辞めると、受け取れたはずのお金や制度を逃してしまうことがあるのが50代です。この記事では、辞める前に確かめておきたいことを順番に整理します。

50代で転職すると収入はどうなる?40代と比べる

転職したときの年齢賃金が増えた変わらない減ったうち1割以上減った
40〜44歳44.9%24.6%27.4%17.6%
45〜49歳41.1%28.0%30.1%16.1%
50〜54歳29.4%26.7%42.0%28.3%
55〜59歳25.5%33.0%38.9%30.6%
全年代40.8%25.5%31.0%21.9%

出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2025年1年間に転職して入社した人が対象)

50代前半では、転職した人の約4割が前の職場より賃金が下がり、約3.5人に1人は1割以上下がっています。残りの約3割は「変わらない」でした。これは年代ごとに別の人を比べた数字で、転職できた人だけを集計したものです。業界や職種、管理職の経験によって結果は大きく変わります。

一方で「変わらない」「増えた」人も合わせると半数を超えます。大切なのは、収入が下がる可能性を前提に、家計がどこまで耐えられるかを先に計算しておくことです。

50代が実際に前の職場を辞めた理由

2025年に転職した50代が前の職場を辞めた理由の上位です(「その他の個人的理由」「その他の理由」「定年・契約期間の満了」を除いた項目)。

年齢・性別1位2位3位
50〜54歳 男性給料等収入が少なかった(11.6%)会社の将来が不安だった(9.2%)職場の人間関係が好ましくなかった(7.9%)
50〜54歳 女性労働時間、休日等の労働条件が悪かった(13.2%)職場の人間関係が好ましくなかった(8.9%)給料等収入が少なかった(6.6%)
55〜59歳 男性職場の人間関係が好ましくなかった(14.4%)労働時間、休日等の労働条件が悪かった(7.0%)能力・個性・資格を生かせなかった(6.6%)
55〜59歳 女性職場の人間関係が好ましくなかった(16.5%)労働時間、休日等の労働条件が悪かった(13.5%)介護・看護(4.0%)

出典:厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」(2025年1年間に転職して入社した人が対象)

50代後半になると、男女とも「職場の人間関係」が1位になります。データからは断定できませんが、役職定年や部署の異動で立場が変わる時期と重なることも影響しているかもしれません。また、55〜59歳の女性では介護・看護を理由に辞めた人もいました。40代のデータは仕事を辞めたい40代へで紹介しています。

辞め方でお金が変わる|50代が確かめたい4つのお金

1. 失業保険の日数は「自己都合か会社都合か」で倍以上違う

被保険者期間会社都合など(45〜60歳)自己都合など(全年齢)
1年未満90日90日(※)
1年以上5年未満180日90日
5年以上10年未満240日90日
10年以上20年未満270日120日
20年以上330日150日

出典:ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」。会社都合など=特定受給資格者と一部の特定理由離職者。(※)自己都合で受給するには、原則として離職前2年間に被保険者期間が12か月以上必要です。1年未満で受給できるのは、正当な理由のある自己都合退職などで特定理由離職者にあたり、離職前1年間に被保険者期間が6か月以上ある場合です。

受け取り始める時期も違います。どちらも最初の7日間は待期期間ですが、自己都合の場合はさらに原則1か月の給付制限があります(2025年4月から。5年以内に3回以上自己都合で辞めた場合は3か月。一定の教育訓練を受けた場合は解除)。

倒産や解雇、退職勧奨などで辞めた人は「特定受給資格者」となり、給付日数が長くなります。注意したいのは、会社が以前から常に設けている「早期退職優遇制度」に応募して辞めた場合は、原則として特定受給資格者にあたらないことです。一方、会社から退職を勧められて辞めた場合や、人員削減のために期間を区切って行われる希望退職の募集に応じた場合などは該当することがあります。どちらにあたるかは、離職票の離職理由をもとにハローワークが判断するので、退職の経緯は記録しておきましょう。手続きの流れは失業保険の手続きで解説しています。

2. 退職金は「辞める時期」と「辞め方」で変わる

多くの会社では、退職金は勤続年数と退職理由で計算され、自己都合の場合は会社都合や定年より少なくなる計算になっています。勤続年数の区切りで支給率が上がる会社もあるため、就業規則や退職金規程で「あと何年で支給率が変わるか」を確認してから辞める時期を決めてください。また、退職金を受け取るときは「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出しておかないと、20.42%の所得税がいったん差し引かれます。税金の扱いは退職金の相場と税金にまとめています。

3. 健康保険と年金

辞めたあとは、会社の健康保険を任意継続するか、国民健康保険に入るか、家族の扶養に入るかを選びます。任意継続は退職日の翌日から20日以内に手続きが必要で、加入できるのは最長2年です。家族の扶養に入る場合、失業保険を受け取っている間は、1日あたりの金額によっては扶養に入れないことがあるため、家族の健康保険に確認してください。60歳になるまでは国民年金の保険料の支払いも必要です。どちらが安くなるかは任意継続と国保の選び方で比べられます。

4. 住民税

住民税は前年の所得をもとに計算されるため、収入が減っても前の年の水準で請求が来ます。1〜4月に辞めると残りがまとめて最後の給料から引かれるのが原則です。詳しくは退職後の住民税をご覧ください。

50代が辞める前に会社の制度で確かめたい4つのこと

1

役職定年と再雇用の条件

役職定年の年齢と、そのあとの給与の水準、60歳以降の再雇用の条件を確認します。「辞めるか残るか」を比べるための大事な材料です。

2

早期退職・希望退職の募集があるか

募集があれば、退職金の上乗せや再就職の支援を受けられる場合があります。ただし、常設の早期退職優遇制度に応募した場合、失業保険では自己都合と同じ扱いになるのが原則です。

3

介護休業などの制度

親の介護が理由なら、辞める前に介護休業(対象の家族1人につき通算93日、3回まで分割可)を使える可能性があります。休業中は雇用保険から介護休業給付金(休業開始時の賃金の67%が目安)が出ます。

4

休職制度

心身の不調で働けないなら、休職制度や健康保険の傷病手当金を使える場合があります。辞めたあとも受け取り続けるには、健康保険に1年以上続けて加入していることや、退職日に出勤しないことなどの条件があります。

介護が理由で辞めると、収入が途切れたうえに、再就職の時期も読みにくくなります。「介護離職」の前に、会社の介護休業や短時間勤務の制度を一度確認してください。それでも辞める場合は、ハローワークで家族の介護のために辞めたことを伝えてください。家族の介護など、やむを得ない事情で辞めた人は「特定理由離職者」として、自己都合でも給付制限がかからないことがあります(給付日数は自己都合と同じ)。どんな書類が必要かは、事前にハローワークで確認しておくと安心です。傷病手当金の条件は傷病手当金は退職後ももらえる?で解説しています。

60歳以降も見据えて|「再雇用まで残る」と「今転職する」を比べる

50代の「辞めるか残るか」は、60歳以降の働き方まで含めて考えると判断しやすくなります。比べるときは、次の3つを並べてみてください。

比べること今の会社に残る場合今転職する場合
60歳までの年収役職定年のあとの給与を、規程や人事に確認する内定先の提示額。賞与や手当も含めて比べる
60歳以降の働き方と年収再雇用の条件(雇用形態、給与の水準、仕事内容)を確認する転職先の定年年齢と、60歳以降の再雇用・継続雇用の制度を確認する
退職金定年まで勤めた場合の支給額今辞めた場合の支給額(自己都合の計算)と、転職先の制度

60歳以降に給与が60歳時点の75%未満に下がった場合、雇用保険から「高年齢雇用継続給付」を受け取れることがあります。ただし、2025年4月1日以降に60歳になる人は、支給額が最大で賃金の10%に縮小されています(それまでは最大15%)。「再雇用まで残れば、給付で補える」と考えている場合は、縮小後の金額で計算し直してください。

50代の転職を進めるときのポイント

50代の転職では、「何ができるか」をより具体的に問われます。担当した業務の範囲、部下の人数、数字で示せる成果、業界の人脈など、これまでの経験を書き出してください。管理職の経験は、同じ業界の中小企業や、経験者を求める職場で評価されることがあります。

収入の空白をつくらないためにも、心身の不調などがない限り、在職中に次の職場を決めてから退職を伝えるのが基本です。転職エージェントを使えば、自分の経験で応募できる求人や年収の目安を、在職中に無料で確かめられます。

辞める前に、自分の経験で選べる求人を知っておく

収入が下がる可能性がある年代だからこそ、在職中に求人と年収の目安を確かめてから判断するのが安全です。登録や相談は無料です。

今すぐ辞めることを優先したほうがいいケース

眠れない、食欲がない、朝に体が動かないといった状態が続いている、ハラスメントを受けている——こうした場合は、お金の計算より先に、心と体を守ることを優先してください。判断の目安は心が限界のときに出るサインにまとめています。会社に連絡すること自体がつらい場合は、退職代行の比較も参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q1. 50代で自己都合退職すると、失業保険はいくらもらえますか?

金額は離職前6か月の賃金をもとに計算され、年齢や賃金によって上限があります。日数は被保険者期間で決まり、自己都合の場合は20年以上で150日です。具体的な金額はハローワークで確認してください。

Q2. 早期退職制度に応募した場合、失業保険は会社都合になりますか?

会社が以前から常に設けている早期退職優遇制度に応募した場合は、原則として特定受給資格者にあたらず、自己都合と同じ日数になります。一方、会社から退職を勧められた場合や、人員削減のために期間を区切って募集された希望退職に応じた場合などは、特定受給資格者にあたることがあります。最終的にはハローワークが判断します。

Q3. 親の介護のために辞めるべきか迷っています。

辞める前に、会社の介護休業や介護のための短時間勤務の制度を確認してください。介護休業は対象の家族1人につき通算93日まで取ることができ、雇用保険から介護休業給付金が出ます。

Q4. 50代で未経験の職種に転職できますか?

できないわけではありませんが、選択肢は限られやすくなります。人手不足の職種では未経験の求人もあり、これまでの経験の一部を生かせる職種を選ぶと可能性が広がります。

Q5. 退職金をもらってから辞めるべきですか?

退職金の支給条件や支給率は会社ごとに違います。勤続年数の区切りで支給率が上がる場合は、辞める時期を少しずらすだけで受け取り額が変わることもあるため、規程を確認してから決めてください。

まとめ|50代の「辞めたい」は、お金と制度を確かめてから動く

  • 2025年に転職した50〜54歳は、賃金が減った人(42.0%)が増えた人(29.4%)を上回る
  • 失業保険の日数は辞め方で変わる。45〜60歳・被保険者期間20年以上なら、会社都合は330日、自己都合は150日
  • 常設の早期退職優遇制度への応募は、原則として自己都合と同じ扱い
  • 退職金は辞める時期と辞め方で変わる。規程で支給率の区切りを確認する
  • 介護が理由なら、辞める前に介護休業(通算93日)と介護休業給付金を確認する。辞めた場合は特定理由離職者として給付制限がかからないことがある
  • 60歳以降の再雇用の条件と、縮小された高年齢雇用継続給付(最大10%)も比べて判断する

50代で仕事を辞めたいと思うのは、これからの働き方を見直すきっかけです。まずはお金と会社の制度を確かめて、後悔しない辞め方を選んでください。

※統計は厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」、給付日数はハローワークインターネットサービスにもとづきます(2026年10月時点)。制度の詳細はハローワークや勤務先の人事にご確認ください。

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